KJ法で《語り》をつなげる

★☆☆ 読みやすい(誰でも読めます)

この記事では、こちらのレポートの作成プロセスを解説します。

KJ法そのものの解説ではないので、ご承知おきください。

目次

《語り》からレポートを作成する6ステップ

STEP
インタビューを実施する

もちろん、現場の方々の声を聞くことから始まります。

インタビューというのは、実はかなり難しいんです。インタビューに参加する研究者と対象者が、呼吸を合わせる必要があるからです。

価値のあるインタビューは、会話が自然と盛り上がります。研究者が質問して相手が回答するという「一問一答形式」ではなく、まるで世間話をしているかのように話題が次々と出てくるようなインタビューが、すぐれたインタビューです。

今回は、22名の方々にインタビューをしました。レポートの最後の部分で、協力していただいた方々を紹介しております。

STEP
インタビューを文字起こしする

インタビューを実施したら、それを文字起こしします。

私は、tl;dvという議事録ソフトを用いて、録音から文字起こしまでを自動化しています。しかし、tl;dvだけだと文字起こしの精度に限界があるので、生成AIのClaudeを用いてデータをクリーニングします。

私は、Claudeに、文字起こしをクリーニングするためのSkillを登録しています。詳しいことは、また別の記事で紹介しようと思います。

Skillsについてはこちら!

STEP
インタビューから「カード」を生成する

ここからが本格的な「KJ法」です。

KJ法については、この記事では紹介しないので、ぜひ川喜田二郎の『発想法』(中公新書)を読んでみてください。川喜田二郎のイニシャルで「KJ法」です。

文字起こしされたインタビューを読んで、大量の「カード」を生成します。見出しをつける作業、と言えば分かりやすいでしょうか。

たとえば、三八商会の重見睦揮さんは、インタビューで次のように話してくれました。なお、話し言葉は書き言葉に変えてあります。

現在の仕事のメインは百貨店のデパ地下に設置する什器(冷蔵ショーケース)である。飲食店向けの冷暖房設備などは、比較的大手メーカーが直接販売するケースが増えてきている。デパ地下の冷蔵ショーケースなどは、ほぼ特注品であり、大手は面倒がって手を出さない領域である。さらに、夜中に仕事する必要があるため、その点でも大手が入りにくい。

私は、この《語り》に、「大手にはできない仕事」という見出しをつけました。この見出しが、ひとつのカードになります。

この作業を、ひたすら繰り返すわけです。

すると、22名のインタビューから、86枚のカードが生成されました。

なかには複数の《語り》に結びついたカードもあります。たとえば、「時代に合わせて商売を替える」は7名の《語り》に結びついていますし、「売上ばかり高くて利益がない」は5名の《語り》に結びついています。たくさんの《語り》と結びついているカードほど、業種や業界を超えたテーマを暗示していると言えるでしょう。

インタビューからカードを生成する作業は、なかなか大変です。今回は、この作業に丸二日を要しました。カードが出揃ったら、次のステップに移ります。

STEP
カードをいろいろと並べてみる

86枚のカードを、とりあえず並べてみます。

カードを全部並べると、こんな感じです。

この状態から、内容が近いカードを近づけたり、因果関係のあるカードを矢印で結びつけたりして、それぞれのカードに居場所を与えていきます。

これが本当に骨が折れるのです。

なにより、こんなにたくさんのカードが本当にまとまるのか、という絶望感に襲われます。しかし、絶望していても始まりませんから、腹をくくって、カードを動かしていくわけです。KJ法は、これが毎回大変です。

すると、あら不思議。

だんだん全体が形を持ってきます。

STEP
マップの完成!

そして、完成したマップがこちらです。

なかなか綺麗に整理されています。

大量のカードを整理してマッピングするのは大変な作業ですが、マップが完成すると大きな達成感があります。ちゃんと研究したぞ、という感じです。

STEP
レポートの完成!

最後に、マップを解説するレポートを作成します。

マップでは、さまざまな情報が並列的に整理されています(マップのどこから見始めてもよい)。それに対して、レポートでは、さまざまな情報が直列的に整理されています(レポートは前から後ろにしか読めない)。並列情報と直列情報の両方を整理することで、情報の分かりやすさが格段に向上します。

ようやく、レポートの完成です!

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

ぜひ、このプロセスで作成したレポートも読んでみてください。

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