経営者の方々へ

すべては現場から始まります。

これは、経営も研究も同じです。

経営の世界には、「ベスト・プラクティス」と呼ばれる成功事例があふれています。しかし、そのベスト・プラクティスをそのまま模倣しても、うまくいくことは多くありません。

他社でうまくいった取り組みやプロジェクトは、その会社だからこそうまくいった、というケースが往々にしてあります。見えている部分は、あくまで「華」なのです。華は、丈夫な茎と、地中に張り巡らされた根に支えられることで、はじめて活き活きとした生命力を放ちます。茎や根の存在を見逃して、華の部分だけを切ってしまえば、すぐにしおれてしまうでしょう。

ここで「根」に相当するものが現場です。

現場に基づいていない経営は、すぐに破綻します。どれほど優れたケースを模倣しても、どれほど優れた経営戦略を立案しても、それが自社の現場に基づいていなければ意味がありません。

同じことが、研究についても言えます。

現場に基づいていない研究は、意味がないのです。どれほど優れた理論を応用しても、どれほど学会内で称賛されても、それが中小企業の現場から離れていては意味がない。あえて強い言葉で言えば、現場から離れた研究は、ただの「知的なおままごと」です。

経営者の皆様に、お願いがございます。

どうか私に、現場の話を聞かせてください。

どうか私に、現場を案内してください。

しばしば、「こんな話が研究の役に立つかどうか……」と自信なさげにおっしゃる経営者にお会いします。しかし、それは立場が逆です。経営者の皆様からいただいた現場の話を役立てるのは、私たち研究者の仕事なのです。

研究に役立つ話をしてほしい、というわけではありません。それは、研究者本位の考え方です。まるで、現場よりも研究が尊重されるべきかのような発想です。しかし、これはおかしい。第一に尊重されるべきは、中小企業の現場です。現場と理論が食い違うのであれば、間違っているのは現場ではなく、理論の方なのです。

研究は、現場から出発しなければならない。

そもそも、現場のことを一番よく知っているのは、研究者ではなく経営者です。優れた経営者ほど、自社や業界の現場を熟知しています。だからこそ、私たち研究者は「教わる」立場です。経営者の皆様に現場のことを教えていただきながら、たくさんの情報をつなげて新しい知識を生産するのが、私たち研究者の仕事だと言えるでしょう。

もし研究に協力してもよいという経営者の方がいらっしゃいましたら、こちらのコンタクトフォームからメッセージをいただけるとありがたいです。

よろしくお願いいたします。


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